Pilots Forum 日本語版

日本と米国の自家用機操縦士やパイロットライセンス取得を考えている方々への情報提供と意見交換のためのブログです。

パイロット仲間のみなさん、はじめまして

このブログを読まれているということは、あなたはおそらく日本にお住まいの日本人パイロットですね?私は日本で過ごすことが多いのですが、日本語は得意ではありません。オリジナルの英語版をご覧になりたい方は、pilotsforum.wordpress.comにお立ち寄りください。

私は日本人ではありませんが、毎年平均6か月は日本に住んでいます。この美しい日本と、ふだんは親切で、正直で、人懐こく、楽しい日本の人々と、日本文化の多くの側面(この点についてはのちほど)に魅せられたからです。私は、十数年前に、自らが経営する法律事務所の東京支所を開設し、日本人(彼女はジェネラルアビエーション(GA)ファンではありません!)と結婚しました。30年以上日本企業のお客様と働いてきて、日本に事務所を持って日本人スタッフを置くほうが、良いサービスが提供できることが分かったからです。実際、妻と私は、猫のももちゃんと一緒に、3か月毎に日本とアメリカの間を行き来しており、アメリカに戻った時に、パートナー弁護士たちの事務所経営をサポートし、成人した子供たちに会い、自家用機で空を飛んでいます。私は、Cessna 172M(1973年製のビンテージものです)を単独で所有し、Cessna TTX(写真をご覧ください)を共同で所有しています。Cessna TTXは、現存の最速の単発ピストン機です。これは複雑な飛行機で、しょっちゅう乗らないとすぐに操縦方法を忘れてしまうことは、ご理解いただけるかと思います。

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そして、それこそがこのブログを書くことにした理由です。私は飛行機に乗ることが大好きで、1976年以来断続的に操縦してきたので、日本に住みながら定期的に飛行機に乗れないのは、耐えがたいことです。ちょうど腕を一本もがれたようなものです。正直、私はもっと日本にいたいのですが、それは日本で自分の飛行機の少なくとも一機に乗れるか、あるいは 手ごろな値段で飛行機が借りられたらの話です。残念ながら、国土交通省航空局(JCAB)は、飛行機が分かっていない人が多いために、GAに対して厳しいのです。少し変わってきているとはいえ、まだまだ遠い道のりです。

実情として、飛行場の屋外で飛行機(例えば、Cessna 172)をタイダウン(ここではひとまず格納庫に保管する場合のコストは置いておきます)し、優秀な整備士に整備してもらい、定期的に飛ぶのは、関東地域ではほぼ不可能です。例えば年100時間飛行する飛行機であれば、年間運転コストは、毎年400万円を優に超えます。これに対して、アメリカでは、保険に約1000ドル、年次点検に1200ドル、タイダウンに約1000ドルの、毎年合計3200ドル(約35万円)を支払っています。日本で自家用機に乗るには、アメリカより10倍以上も費用がかかるのです。一体なぜ?

この無駄なコスト差のせいで、関東地域でCessna 172を借りるコストは、最低でも1時間あたり400ドルを超えます。アメリカのワシントンDCエリアでは、私のCessna 172の1時間あたりのリース料は、ドライ・リースで85ドル(乗り終わった時に借りた人が燃料を入れて返す)、ウェット・リースで130ドル(燃料込み)です。日本で飛行機を借りたら3倍以上します。結果的に、ほとんどの日本人パイロットは、日本の約5分の1のコストのアメリカ本国かグアムに来て、FAAパイロットライセンスの取得を目指します。

このコストの不均衡に、合理的な理由はないはずです。JCABは、コストが高額なのは安全性を第一に確保するためだと(たぶん)主張するでしょう。 しかし、この高額のコストこそが、本質的にGAの安全性を脅しているのです。なぜって?良いパイロットを育てるには、なるべく頻繁に飛行機に乗せて、スキルの実践と向上を図るとともに、安全に役立つ計器飛行証明や事業用操縦士技能証明などの他の技能証明を取得させることが唯一の方法だからに他なりません。これには少なくとも年50時間、好ましくは75時間から100時間以上の飛行時間が必要です。日本では、少なくとも関東地域では、日本人パイロットは、せいぜい一年に5時間から10時間飛んでログブックに記録できればラッキーです。一年ですよ!!!ご存じのとおり、航空機の操縦は非常に失われやすいスキルであり、これを維持して安全なパイロットであり続けるには、まかなえるコストで定期的に飛ぶしかないのです。

The Aircraft Owners and Pilots Association (AOPA-US)は、GAの促進に関してアメリカで最も成功している組織です。日本にはAOPA-Japanがありますが、AOPA-USとは何の関係もありません。私は、両国のAOPAのれっきとした有料会員であり、AOPA-JAPANの目的も同じだと思うのですが、残念ながら、AOPA-JAPANは、たいへん異なる不利な環境で運営されています。会員は、非常に経験豊富で献身的な航空専門家であるにもかかわらず、基本的に有志です。

アメリカで頻繁に飛んでいる(年約75~100時間) FAA計器飛行自家用機操縦士として、そして日本でも頻繁に飛びたいと願う者として、どうすれば日本でGAがもっと安全かつ手ごろになるのか、そしてどうすればパブリックイメージを良くすることができるのかを話し合うために、このブログを開設して、AOPA会員に限らず誰でもがアクセスできるプラットフォームとしました。現在日本は世界で第3位の経済大国であり、共産主義国ではありません。熱心なGA愛好家にこれほど厳しくする理由などありません。安全を促進し、実現する最良の方法として、とりわけ手ごろなコストで頻繁に飛行できるようになれば、自家用機の飛行は、日本においてもっと容易に、もっと手ごろになることでしょう。これに資するべく、対話を通じて共に理解と協力を深めていけることを願っています。 

安全な飛行を促進するという志から、一層安全な操縦技術を培うための方法についても話し合いたいと思います。したがって、次回以降の各記事では、再発する機内でのいくつかのトラブル事例と、それに対処する方法について検討します。例えば、次回の記事では、飛行中にエンジンが不調になったときにどうすべきかについて探っていきます。

これらの問題についてコメントし合い、なりゆきを共に見届けましょう! 

お読みいただきありがとうございます。安全な空の旅を!